(41)

「あんたは優しすぎるのよ。」
「僕も同じ気持ちです。」
「私だったらとっくに家族なんか見捨ててるわ。あんたは理由をつけて許そうとしてる。」
「そんなことは…。」
「父さんとは無理かもしれないけど、私はあんたの味方よ。きっと風も…。風なんかああ見えて結婚とか見合いでいいって言って

るくらいだし、うちの社長ならイケメンでやり手だから問題ないわよ。」
「…そうね。」
「明さん。面倒な妹ですがこれからよろしくお願いしますね。結婚式には呼んで下さい。月の花嫁姿、見たいもの。」
「鳥…。」
「じゃあ、私は仕事だから。」
鳥は帰っていった。

「いいお姉さんだね。」
「うん。鳥は昔から優しかった。」
「これからどうするつもり?」
「ん〜ひとまず仕事をこなして、結婚の準備でもしよ?」
「本当にいいの?義父さんに何も言わなくても。」
「いいの。あいつにも時間が必要でしょ?」
「風さん…どっちを選ぶのかな…。」
「風姉ならきっと…お母さんたちに反対されても結婚すると思う。」
「それならいいんだけどね。」
「私でもあの取引はどうしようもなかった。SUNNYの社長にNOっていえると思う?」
「俺なら…まず無理かな。」
「風姉も苦労すると思う…。相手は私よりも1枚も2枚も上手だから。まぁ頼ってくれれば嬉しいけど。」
「風さんが月のことどうとらえてるかが問題だね…。」

すると携帯のバイブが鳴った。

「もしもし。」
「月?風だけど。」
「うん。」
「聞いたわ…。静真くんから。大丈夫だから。私は。嫁いでやるわよ。どこでも。」
「ごめん…。SUNNYの社長自ら申し出てきて…断れなかった。」
「いいのよ。月のせいじゃない。これは元々私たちが原因だもの。」
「あの人…。私よりも何枚も上手なの。風姉が頼ってきたらいつでも協力するから!」
「ありがとう。月…ごめんね?気付いてやれなくて。聞いたわ…ノーベル賞級のものを開発したんだって?」
「うん…。まだ、開発途中だからノーベル賞とまではいかないけど。」
「じゃあまた二足の草鞋?」
「そう。本業は副社長だけど。」
「父さんは…まだ動揺を隠せないみたい。母さんはずっと月に謝りながら泣いてる…。」
「そう…。父さんたちに言っといて。もう、私は父さんたちに干渉しないからって。」
「そんな…!!」
「父さんもプライドが許さないでしょ。娘に、しかも自分より劣ってると思っていた娘に潰されたんだから。」
「でも…。」
「いいの!これで、私は父さんたちを許せそうだから。」
「でも、私は家族6人でまた笑い合いたい!!」
「…それはもう叶わないわ…。ごめんね。」
「あたし、父さんを説得するから。きっと…。だから…。」
「ごめんね…。じゃあ切るね。」

「良かったね。風さんは気にしてないみたいだね。」
「うん。良かった…。でも、お父さんはきっと、私を憎んでると思うわ。」
「いつか、分かり合える日が来る。その日を信じて待とう。俺もついてるから。」

お父さんと分かり合える日がくるとは思えないけど、その日が来るのを願わずにはいられない。
だって私の唯一の父親だもの。
私はまだまだ未熟者。
私が精神的に大人になったとき、私は…今度は修復のために動こう。
風姉が望んだ、家族6人で笑い合えるように。
あなたと一緒に計画を練ろう。
あなたも混ざって一緒に笑おう。
だってこれからずっとあなたと一緒にいるのだから。
だって月は青いから。






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あとがき

完結です。
本当はもっと書くつもりだったんですがネタ不足で切り上げました。
まぁ、番外編でちょこちょこ書こうかと思ってます。
結婚式やら、風のことやらを。
「月は青い」には二つの意味があります。
一つ目は夏目漱石の言葉の「あなたを愛してます」という意味。
二つ目は月自身が未熟という意味で青いという言葉を使ってます。
次回作はまだ考えてませんが、とりあえず他の作品を優先的に完結させます!!
とりあえずは蒼き狼を!
では!

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