(13)

相も変わらずに南くんと帰宅。
「楽しかったね。文化祭。」
「そう?俺としてはいい所で岡部さんに滝沢さんをとられて最悪だったけど。」
「ふっ。何?秋子に嫉妬してるの?」
「滝沢さんって嫉妬とかそういう言葉知らないと思ってた。」
「何よそれ。知ってるに決まってるじゃない。」
「まぁ、これは嫉妬…かな。」
「てかさ、きのぴー最悪だったよね。もう、あたしなんかミスって言うより変人だよ。」
「まぁ、その通りなんじゃない?」
「何よ、それ!!」
「嘘だって。滝沢さんはすっげぇかわいいよ?月さんに嫉妬しちゃうところとか。」
「はぁ!?そんなことあるわけないじゃん!!」
「俺が、君の変化に気付いてないとでも思うわけ?」
「変化?」
「俺といて、胸がきゅーっとなったり、してない?」
「ん?なんで、知ってるの?あ、まさか秋子に聞いたとか!」
そう自分で言ってなぜか胸がちくってなった。
「んで、岡部さんになんて言われた?」
「ん?恋の病とか冗談言われたー。絶対なんかの心臓の病気だと思うんだけど!!」
「ぶ!!それ本気で言ってる?」
「ん?本気だけど…?」
「俺…自分が物凄く不憫になってきた…。」
「なんで?」
「天然故の鈍感なのか鈍感故の天然なのか…。」
「は?」
「まぁ、いいや。もう、本気で行くから。もう、素顔隠さなくてもいいし。」
「え?」
「なんていうか、もうばれて良かったと思ってる。」
「そうなの?」
「うん。」
「逆にね。」
「ふうん。何かよく分からないけど。」

こうして文化祭は終わった。


ガラ。

「お?正常な滝沢だ…。」
「だから、きのぴーその言い方やめてくださいって!もう、全校生徒の前で恥かいたし!」
「ウケて、めっちゃ嬉しがってたくせに!!」
と翔が横槍をいれる。
「うっさいわ!!」
「でも、やっぱりこれが滝沢だよなぁ。うんうん。」
何一人で納得してんだ!!

「じゃあ、漫才は終わりにして、滝沢、席につけ〜。」
「漫才なんかしとらんわ!!」
とつっこんでしまう。

クラスメイトはというとまた笑ってるし。

「じゃあ、教科書33ページ。地中海性気候だが、夏の間はアフリカにある高気圧帯が北上して降水量が少なくなる。ここは大事だから、期末に出すぞ〜!」

期末?
期末って…。
「え゛−!!!」
あ、これあたしの声じゃないから!
「なんだ、笹野。そんなに期末が楽しみなのか?」
「あ、いや、その。」
馬鹿丸出しだし。
「笹野の要望に答えて、今回は少し難しくしてやろうか?」
この発言には
『翔の馬鹿野郎』
とか
『先生の鬼!』
という発言が…。
「おいおいおい。皆してそんなに難しくしてほしいのか?そうかそうか。」
などとほざいてる。

私は翔をペンでぶっさして振り向かせた。
「痛ぇし。」
「翔のばぁか。余計なことして。」
「あ゛?どうせ難しくなろうがお前成績結構いいからいいじゃねえか。」
「そりゃあんたよりかは良いにきまってんじゃん。」
「でさ、お願いなんだけど…。」
「いやだ。」
「まだ何も言ってないじゃん。」
「どうせ勉強教えてでしょ?」
「うん。」
「あんた物分りが悪すぎてめんどくさい。」
「え〜、そう言わずに…。」
「あたしはあんただけじゃなくて秋子もいるのよ?」
「…。」
「そうねぇ。おぼろちゃん連れてきたら…教えてやっても構わないわよ?」
「え…。」
「まぁ、あたしはどっちでもいいけど。補習で夏休みが潰れる…こともあるかもね。」
「つ…連れていきますんで!!」
「まぁ、いいわ。比呂もいるだろうし、一度に全員世話してあげるわよ。」



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