(1)

私はなぜあなたに恋心を抱いてしまったの?

決して結ばれることはない恋。

どうせ結ばれないのなら忘れてしまったほうがどんなにいいだろうか。

どうして、私たちは敵同士なのですか?

どうして神様は意地悪するのですか?

どうして…。

どうして私はこの想い、捨てきれないのですか…?

これはいがみ合う反乱軍の女と政府軍の男の報われない恋の話。


勿忘草


この世は国王中心に政治がなされ、王権が強い世界。
貧困に嘆き苦しむ人々と優雅な暮らしの貴族に二極化される完璧な格差社会。
ここに、国に対し、王に対し、反旗を翻す男たちがいた。

「剣を取り、今こそ立ち上がろうぞ!!」
『オォー!!』

一人の武装した中年の男が皆を鼓舞する。
この男、反乱軍のリーダーのジョン・コーラル。
元政府軍、総司令官だったこの男は、この社会に疑問を抱いた。
格差を是正しない王に苛立ちを覚えた。

それはある日の出来事。
「陛下。なぜこの格差を是正なさらぬのですか?」
「何故是正する必要があるのじゃ。余に何の悪影響もないのであろう?余が暮らしやすければそれで良かろうに。なぜ、余が民の
ことを考えねばならぬのじゃ。」
「…。」

そして今に至るのだ。
そんな彼にも年頃の愛娘がいる。
マーガレット・コーラル。
彼女は彼の職業を偽り、貧困に苦しむ農村で慈善活動をする健気な少女だ。
そして彼女は誰もが目を惹く美少女。
そんな完璧にも思われる彼女。
唯一つ欠点があった。
それは勝気な性格だ。
貧しい村で襲われないのも彼女は武術に長けていたからだ。
誰もが目を惹く美少女にも関わらず、恋人がいないのはそのせいだ。
そんな彼女も、もう18歳になる。


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