(11)

…皆さん、完全に忘れてましたよね?
私一応大学生です。
仕事ばっかしてましたが、今日から後期が始まるんです。
前にいた学科の友人が大学に来始めます。
皆、元気にしてるかな?
そう思いに耽ってると
「月ちゃ〜ん!」
友人が手を振って寄ってきた。
「月ちゃん!元気にしてた?」
「まぁね。忙しいけど。」
「ってか綺麗になっちゃって〜。もしかして恋してるとか?」
「んなわけないし。」
つんっと友人のおでこをつついてやると、彼女はむくれてしまった。
あっ紹介します。
彼女は栞(しおり)。
苗字は確か…忘れた!

「今日ね、学科の1年で飲み会するんだけど、月ちゃんも参加ね!」
「拒否権は?」
「ない!!」
やっぱりね〜。
どうせ質問攻めにあうんだろうな。
「何時から?」
「7時か8時くらい。」
アバウトすぎんだろ!!
「場所は?」
「七福神。」
「じゃあ仕事終わったら行く。」
「頑張ってね〜♪」

栞と別れると研究室に向かった。
ちゃんと終わんのかな?
って考えるだけ無駄。
終わるわけないし。
だって専門外だもん。
勉強しながらの研究だから毎回10時過ぎ。
今日はいつもより数倍早くしたから、9時に終わったけど。

栞が怒るのでタクシーに乗って急いで向かった。

「おっそ〜い!!」
「ごめんって。」
「もう!ごめんですんだら警察はいら〜ん!!」
「えっ警察呼んでんの?どこ?」
「本気で呼んどるわけないだろ!!」
「ナイスツッコミ!!」
「当たり前!あたしを誰だと思ってんの?」
「神様仏様栞様でしょ?」
「ちっが〜う!お・れ・さ・ま♪」
「ぶふっ!!さすがやね。」
「あんたも。」
旧友で唯一、素性を知ってるやつ。
しかも、小学校から大学までクラスが同じというなんたる奇跡。
「ってか、どうなん?仕事は。」
「う〜ん。普通。」
「反応、うす!!親友に教えてくれたっていいやんか。」
「あ、CM作った。」
「どゆこと?あんた副社長じゃないと?」
「え〜副社長だけど、広報部の部長もしてる〜。なんか、仕事のスピードが半端ないらしい。」
「また〜らしいとか言っちゃって。この確信犯。」
「ちっばれたか。」
「どのCM?」
「ゼウス」
「神楽が出てたやつ!?」
「うん。」
「もしか!!」
「栞さん、もしやともしかしてが混ざってますよ?」
「そんなんどうでもいいんじゃ!会ったのか!?」
「ん〜会ったね。」
「ずるい!!あたしにも会わせろ!!」
「ん〜いいよ。」
「神楽と知り合いになったら、KILLERにも会えるかもしれんし!!」
KILLERとは神楽の事務所の後輩で栞がこよなく愛すバンド。

「てか、恋に発展とか無かったわけ?」
「あたしは彼らに対して取引相手としか見てないからね。」
「月らし〜。あっ、もうこんな時間!?皆!!会計済ませて!!」

ざわざわしながら、前の学科仲間は次々に会計を済ませていってる。

「今からあんたの新居に泊まりに行くから。」
やっぱり、こうなるのか…

栞と部屋に向かった。
扉を開けると…
「おかえり♪」
「死ねば?」
ついつい口に出しちゃった♪
「つれないこと言わないでよ〜。未来の旦那に向かって。」
「一度病院に行ったほうがよろしいかと…」
「そっか。俺病気だもんね。恋の病〜なんつって♪」
「消えろ。」
痺れをきらしたのか、栞が叫んだ。
「このイケメン誰!!未来の旦那ってどゆこと!んでなんで月はそんな対応!!」
「栞、そんないっぺんに質問しないでよ。」
「んじゃ、まず、この人誰?」
「僕はね〜月のこ…「ただの部下。で、そいつ、社長ジュニア。」」
「ふ〜ん。じゃ、未来の旦那ってのは婚約者だからってこと?」
「こいつが勘違いしてるだけ。」
「ひどい!!俺はこんなに好きなのに。」
「んで、月は苦手なタイプの人間だから、自称婚約者に冷たいわけね。」
「さすがね。」
「そりゃ、親友だもん。」
持つべきものは友達だ…!!!!!!!

「なんだ、この言われよう…」

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