(14)

この日がやってきてしまった。
長女花の結婚。
義兄さんがあいつに「娘さんをください」って言ったときは爆笑しそうになったっけ。
んで義兄さんの両親にあいつが「花をよろしくおねがいします。」っていう挨拶までのくだりが長くて退屈だ…と思ってたときも

あったっけ。
そん時、隣見たら風ねぇが目に涙溜めてるの見て爆笑しそうになったのを抑えるのがどれだけ大変だったか。
そんなこと話したら、鬼畜って言われたこともあったし。
だって所詮他人事。
こんなに面倒なことってないっしょ?
だって社員がいるかもしれないなんて、面倒以外なんにもないし。
つうか、計画を邪魔されんのって誰であっても許せないもん。
そんなこんなで、実家に久々帰ってきました。
「たーっす!」
「おかえりんご。」
「それふるい。」
あっこれは三女の風。
某バンドのグループが好きでライブDVD観て泣いてるのを目撃したとき腹抱えて笑った!!
とにかくなんか変な姉。
顔はお母さんに似てめちゃくちゃかわいい。
私は本当に残念なことにあいつ似。
まぁ顔は悪い方じゃないと思うんだけど。

「あっおかえり。」
「ただいまー!!!」
「あんた少し大人っぽくなった?」
「そんなことないよ。」
「またまた〜、彼氏できたんじゃないの?」
彼氏すっとばして婚約者ならいるけど、
「おらん。」
「つまんないの〜。」
「この前の花気に入った?」
「まぁね。あの花言葉って何?」
「歓喜、節度ある態度。」
「花言葉は微妙なわけね。」
「私的にはセイタカアワダチソウが良かったんだけどね。」
「花言葉は?」
「生命力。」
「それ、めっちゃくちゃいいじゃん。」
「でしょ?友達がそれはやめとけって〜。あと素直じゃないとか言われたし。めっちゃ素直じゃんね?」
「ある意味素直よね。」
「何?そのある意味って。」
「天邪鬼だから。」
「ひねくれてて悪かったわね。んで、着付けって何時から?」
「10時に家でるよ?」
「ふ〜ん…って過ぎてんじゃん!!」
「あらホント。じゃあ出発!!」
「はぁ。」



「ぐるじい〜!!!!!!!!!」
「うるさい!!黙ってなさい!!」
「だって苦しいんだもん!!仕方ない!!」
お母さんと着付けで悪戦苦闘してる中、次女鳥が到着。
「久しぶり〜!!」
「久しぶり〜じゃないでしょうが!!あんた遅刻して!!」
「だって飛行機が遅れたんだもん・なんか、プライベートジェットが先に飛ぶって。」
ぎくっ。
それって私じゃんかぁ。
言い忘れてたけど鳥はT都のSUNNYっていう大企業でカメラの開発にあたっているエンジニア。
「もう、そんな言い訳はいいから早く着替えなさい!!」
「ほ〜い。」
そんなこんなで、着付けが終わった。
「月、かわいいじゃん!!」
「風姉に言われてもあんま嬉しくない…」
「でも、なんかやっぱあんたには青系が映えるね。」
「それは認める。」
「さ、花姉見にいこ!」
「うん。」

花姉はそれはそれは綺麗だった。
花姉は風姉とか私みたいに両親のどちらにも似てなくてあまり綺麗な方ではなかったけど、幸せそうな笑顔を見たらやっぱり綺麗

だとは思わずにはいられなくて、なんだかちょっぴり羨ましくなった。
今のところ相手は奴になってしまうけれど。

「花姉、きれいだね。」
「…うん。」
隣で感極まったのか風姉も鳥も泣いていた。
私はと言うと、ただただ花姉を見てるだけだった。
眩し過ぎて、花姉にはない、私の闇が悲鳴をあげていた。
家族だってことが私を狂わせ、心を破壊する。
それに耐えなければいけない今日という日がまだ始まったばかりだ。

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