(2)

来てしまった…。
この性格なんで20分前に到着とかは当たり前。
まだおらんやろ。
「すいません。宮迫月さんですか?
私は秘書をやっております、日高と申します。」
はや!さすが○ヨタ。
教育がなってんじゃん。
「はい。今回はお世話になります。」
「童顔なんですね。一瞬高校生かと思いました。」
大きなお世話だっての!!
「あはは、よく言われます。」
「では、参りましょうか。
この車に乗ってください。」

そこに登場したのは黒塗りの高級車。
さっすが自動車企業!
辿りついたところは空港。
そこからA県に渡り、そこの空港でまた黒塗りの高級車に乗り、今目の前にはでっかいビル。

でっけぇ…。

「さ、こちらにどうぞ。」
案内されたのは社長室。
ま、社長と会うんだから、そりゃそうだよな。
日高さんがドアを開けてくれ、中に入るとそこには人の良さそうなおじさんがいた。
この人が社長か…。
「ようこそ。わざわざ遠いところから。
お疲れでしょう?そこに座ってください。」
なんか緊張するな…。
「お気遣いありがとうございます。」
「さて、本題なんですが…あなたうちで働きませんか?」
なぬ!!
という表情は表向きで、やっぱりかというのがほんとの心境。
こうなるんじゃないかと思ってました。
電話しているときから。
「それは私にはもったいない話です。が、その話が本当なら私は快くお受けいたします。」
これはその時から考えてた言葉。
良かった…かまなくて。
「それは良かった。あなたにやって貰う仕事は研究と副社長の仕事です。」
はぁ!?
ふっ副社長?
それは視野にいれとらんかった!!
でも、まぁ悪くないな。
「あの、なぜ私を副社長に?」
「丁度、現在副社長を解雇しようと思っていたんです。
本当はそこの日高にやらせるつもりだったんですが、気が変わりました。
あなたには大きな力がある。私はそれを今感じたからです。
やってみませんか?」
もちろんあたしはYESだ!
でも、その前に…
「私にそんな力はありません。が、私に出来るのであればその話、お受けいたしましょう。」
「さすが、私が見込んだ人だ。
本当は即座にYESを言いたいところを謙遜して自分のでしゃばりを軽減させる。
そうではないですか?」
なぜばれた!
まぁ表情には出さないけど。
「さすがですね。見破る人がいるとは思いませんでした。」
「まぁ、多分他の人は気付かないでしょうね。本当にあなたの才能には驚きを隠せませんよ。」
日高は顔をしかめている。
何の話をしているのか分からないようだ。
「光栄です。」
「それで大学のことなんですが、特別待遇になると思います。
交渉次第ですが、最低週に二日出席すれば全単位とれるという風にしてもらいましょう。
大学と合同研究の方向で進めます。それとあなたにはマテリアル学科に転科してもらいます。」
「そこまでしていただきありがとうございます。」
「いいえ、優秀な人材確保のためです。
それと住まいですが、ここと大学のところで新しく部屋を借りますので荷造りをお願いします。
ここで借りるところ用のものはすべて揃えさせます。
だから向こうで使ってたものは全て向こうで借りる部屋に移すという形になります。
分かりましたか?えっと、今は7月の中旬だから、下旬までにはお願いします。」
「分かりました。」

こうして研究員アーンド副社長となってしまったのである。

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