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今日はSUNNYさんとの会議。
いつもならSUNNYさんがうちに来てくれるけど今回はこっちが赴くことに。
うちの会議室が全部使用されていたらしくて。
議題は最終調整。
前にちょろっと紹介したけれど、私の姉の鳥はSUNNYさんとこの社員。
ちょっとやばくない?
鉢合わせても気付かれる可能性は普通にある。
だってそうでしょ?
いくらメイクで歳誤魔化しても、鳥はSUNNYに入社するだけあってかなり頭いい。
しかも、いつもだったら責任者だけが集まるところを今日のSUNNYさん側は開発にあたった人までが参加する。
鳥はただの社員じゃない。
“開発部”の人間。
カメラ担当だけど…。
よくよく考えると通報システムにカメラが搭載されている。
はい、結論。
鉢合う可能性8割。
うわっ、やっべー。
でも、責任者の私が行かなくては誰が行くんだ!!!!!!
ようし!私はやれば出来る子だ!
女は度胸!
虎穴にいらずんば虎児を得ず!
いざ、出陣。

不安になりながらも、会議室の前に到着。
遭遇しなかったことにちょっと安堵。

コンコン

ガチャ

「失礼します。」
社員の方に誘導されて席についた。

!!!!!!!

え〜、前方をご覧ください。
ものすっごい凝視していらっしゃる方がいます。
誰って?
もう、分かってるくせに〜。

鳥です。
紛れも無く。
内心、非常にドキドキしてます。
表情が顔に出ない性質でよかった…。

「それでは、始めたいと思います。では、宮迫くん、説明よろしく。」
SUNNYさんところの責任者が言う。
ん?
鳥がプレゼンするんだ…。
「今回の最終調整にあたって…。」
鳥が説明を始める。
分野外のことが多かったから、全てを理解することは出来なかったがさすが、鳥だ。
理路整然としていて聞いてる側は聞きやすい。
「…以上です。」

説明が終わったようだ。
「では、質疑応答に移りたいと思います。何かある方は…。」
誰も手を挙げない。
「…では今回はこの方向で進めたいと思います。これにて会議を終了したいと思うんですが、蛍原さん、何か他におっしゃることはありますか?」
「いいえ。特には。あ、CMの件ですが、今回、ROSEさんが楽曲を提供してくださるそうです。」
その言葉に鳥はびくっとした。
彼女はROSEのファンだ。
筋金入りの。

「ほう。それはまた凄いですね。」
「我が社のゼウスのアンサーバージョンみたいな形になると聞いております。彼らが粗方、CMの構成をしておりますんでとても魅力的なものになるでしょう。」
「それは安心ですね。」
「えぇ。しっかりSUNNYさんのところも宣伝しますんで…。」
「待ち遠しいですね…。」
「では、会議を終わりにしましょう。」
「そうですね。では…。」
会議が終わって解散となった。

「あの、蛍原さん。」
そう呼び止めたのは勿論、鳥だった。
「ちょっとお聞きしたいことがあるんですが…。」
ばれたか…。
要因は多分声。
声は誤魔化しが効かないから…。
「場所を変えましょう。」
そう言って、喫茶店へと場所を移した。
「あなた…月でしょ?」
いきなり核心をついたな…。
「分かっちゃった?」

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