(21)

「分かっちゃった?」
「当たり前でしょ。私を誰だと思ってんの?」
「ですよね〜。」
「で、なんでこんなことになってんの?」
「きっかけはユノーみたいな車を作ってみてはどうですかって提案したことかな。」
「なるほどね。だからユノーの開発の責任者か。」
「うん。で、言っちゃうと、大学の学部なんだけどマテリアルに転科した♪」
「はぁ?」
「そこで、研究しとけば単位がとれるって契約をしたんだ。大学側と。」
「何それ…あんたって頭良かったっけ?」
やっぱりその程度の認知か。
ちょっといらっとする!
「さぁね。少なくとも5カ国語くらいはしゃべれるよ。」
「嘘!!」
「本当。」
「何話せる?」
「ギリシャ、ドイツ、フランス、ロシアかな。あ、でも英語はまだノルマ達成してないけど。」
「まじで!?知らなかった…。で、あんたの役職は?責任者になるくらいだから部長くらい?」
本気でびっくりしてる。
そんなに驚くことなの?
「まぁ、それもあるね。他社とか世間から見れば広報部長だけど、本職は違うよ。」
「本職?研究者ってこと?」
「まぁ、それもあるね。月火は大学で研究してるしね。」
「はぁ?それもってどんだけ仕事してんの!?」
「社長曰く人の10倍くらいはしてるって。ちなみに本職は副社長だから。」
「はぁ!?なっどっ…はぁ?」
なんで、どうしてとか言いたいのか?
「社長にヘッドハンティングされちゃいました♪」
「あんた…実は天才だったの?」
「さぁね。ま、能ある鷹は爪を隠すってこと。」
「わー自分で言っちゃってるよ、この子。」
冗談だっての。
まぁ、ちょっとは思ってるけど…。
「で、このことを誰にも言わないで欲しいんだけど。」
「まぁ、信用なくすもんね。つうかなんで家族まで隠してんの?」
「どっから漏れるか分からないからね。っていうことで、これ書いてね。」
「何これ。」
「け・い・や・く・しょ」
「はぁ!?」
「破ったら1億円だから。まぁ話さなければいいってこと。」
「企業秘密ってこと?」
「そう。権限は私じゃなくて、社長。」
ってのは半分嘘だけど。
「分かったわ。書いてあげる。」
当たり前よね。
「サンキュ。」
「ただし。」
「ただし?」
「ROSEに逢わせて。」
またこの人は…。
「はぁ?」
「あんた広報部長って言ってたよね?」
「まぁ、そうだけど。」
「じゃあ逢ったことあるのよね?」
「まぁね。あのアラフォーのおっさん方にはまいっちゃうよ。」
「おっさんっていうな!」
「知り合いなのはROSEだけじゃないし。神楽も知り合いだよ。」
「はぁ!?そんなに前から?」
「うん。まぁ、いいよ。逢わせてあげる。」
「約束だからね。」
「はいよ。じゃあ、次ROSEに逢うのはCM撮影の時だから…瀬野!いるんでしょう?」
「はい。」
やっぱりね。
「内容聞いてたわよね?」
「はい。CM撮影は1週間後の午後2時からです。」
「というわけで、来週場所はCスタジオで。」
その時奴を紹介するか…。
ていうか花姉の結婚式に奴が来てたから大丈夫…かな?
「あんた…本当に副社長なんだね。」
えらそうな私にしみじみ鳥は言う。
「まぁね。」
「副社長…次の仕事が…。」
「分かった。んじゃ、次の仕事があるから。来週ね。あっうちの社員は私のことただの派遣だと思ってるから。うちの社員でも言っちゃだめだからね。あと、名前間違えないようにね。次逢うときは他人だから。」
「はいよ。」
「じゃね〜」
手を振って別れた。

「あれ、お姉さん?」
「うん。次女。」
「何歳?」
「えーっと、27歳?」
「ってことは…8歳違うってこと?」
「うん。」
「ていうか俺と同い年じゃん。」
「えぇ!?」
もっと若いのかと思ってた…。

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