(22)

私と奴は撮影の30分前にはついていて、思いっきり奴をからかって楽しんでいた。

「よう!」

ROSEの方々がご登場だ。

それにしても、鳥はどうしたんだろう。
ちゃんと日時とか言ったはずなのに…。

「星羅!!遅くなってごめん!」
そうやって登場したのは我が姉の鳥。
「どうした?鳥らしくないね。遅刻なんて。」
「身だしなみとかすんごい確認してたら遅くなった!!」
「ふうん。まぁ、ROSEの皆様も丁度きたところだし。」
「まじで!!」

「あの〜。」
奴が横から入ってきた。
「あ〜紹介するわ…。」
「あぁ、恋人の高原明さんでしょ?風に聞いた。」
これだから風姉に言いたくなかった…。
早とちりのくせにその情報をしゃべりまくるまじで面倒な人。
「はぁ、恋人じゃない。これ、一応婚約者ね。そこに愛だの恋だのないから。」
「あぁ、そうなの?まぁ風だからあんまり情報をあてにしてなかったけど。」
「風さん、すごい言われようだな…。」
明はこの時物凄く風を不憫に感じるのであった。
「で、あなた、次期社長なんでしょ?」
「えぇ、まぁ。」
「…星羅をくびにしようもんなら…分かってます?」
この姉在りてこの妹在り。
そんな感じだ。
「鳥。あんまりいじめると…。」
お?ここで俺を助けてくれるのか?と明は思った。
「私の楽しみが減るじゃない。」
そっちかぁー!!
と一人でつっこみを入れる明。
「ふふ。冗談よ。鳥、今から撮影に入るから、そこで見といて。」
「え?あんたたちもここにいるんじゃないの?」
「残念ながら出演者なわけ。私と奴は。」
「えぇ!?」
「では、僕らは準備がありますので…。」
「そういうこと。」

私と奴は衣装に着替えて、撮影の準備を整えた。
「星羅ちゃん、あの女性だれ?」
そう聞いてきたのはROSEのRUIさん。
彼は未だに独身だ。
ちなみにAYUさんとSINさんは妻子もち。
「あぁ、あれは今回、共同開発させていただいているSUNNYさんところの開発部の人です。ちなみに私の友人の姉ですから。」
「へぇ。かわいいね。」
鳥は両親のどちらにも似てなくて、姉妹で言ったらそんなに整った顔ではない方だ。
「えぇ。」
「じゃあ、撮影するか。」
「よろしくお願いします。」

そうして撮影が始まったのだった。
私は中学の頃演劇部に所属していたため、この手の演技は得意だ。

「はい、カット!!オッケイ!!」
一発オッケイだった。

今回はゼウスのCMだから私はそんなに出ない。
だけど、奴もたいしたものだ。

「ゆ…星羅!!あんた良かったわよ?」
「当たり前でしょ?元演劇部員だったんだから。あ、それより今から打ち上げ行くけどついてくるでしょ?」
「当たり前だし!!」
「じゃあ、ROSEに紹介するからついてきて。」
「う…うん。」
鳥はすごい意気込んでいる。

「星羅ちゃん、お疲れ〜!」
「お疲れ様です。」
「で、そちらは星羅ちゃんの友人のお姉さんの?」
「宮迫鳥です。」
「鳥も打ち上げに連れていきたいんですが、よろしいですか?」
「うん。それはまぁ、構わないけど。」
「ありがとうございます。あの、私は少し仕事があるので、お酌はできませんが、鳥がやってくれると思うんで…。」
「えぇ?!ゆ…月何言ってんの?」
「「「「月?」」」」
やばい!!
でも、良かった、こんなこともあろうかと対処を考えといて。
「もう、鳥ったら、こんな所であだ名で呼んじゃだめだって言ったでしょ?」
「あ…ごめん。」
はっとしたみたい。
「なんだ。あだ名か〜。」
「ははは。」

ちなみに奴は他に仕事があるそうで、早々と渋々帰った。

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