(27)


百合が彼のメアドを聞いてくれて、メールを送れと急かす。
でも…
「なんて送ればいい?」
それが問題だった。
「クラスマッチお疲れで、いいんじゃない?」
「そっか、一昨日だもんね。クラスマッチ。」
「うん。」

『宮迫月です。クラスマッチお疲れ様です。友達にメアド聞いたんだけど、大丈夫だった?』

打つまでは良かった。
だけど、送るのに勇気が要った。
私はあまりメールをするほうじゃない。
だから、アドレス帳には女子の名前しかない。

真っ赤になりながら、送信のボタンを押した。
「本当は気になるんじゃなくて、好きなんでしょ?」
百合にはお見通しだった。

返事が待ち遠しくて仕方なかった。

30分後…。

『お疲れ。びっくりした。宮迫さんからメールが来たから。』

メールが来たとき、初めて携帯というものの素晴らしさに気付いた。

『そう?今ね、百合とカラオケ行ってたんだ。』
『宮迫さん、歌うの?意外!!』
そんなに意外かな?
『失礼だな。私だって歌うもん。』
『何歌ったの?』
『NAOちゃんのJOYとか。』
『NAOが好きなんだ…。』
『うん。一応、採点で95点だったんだよ?』
『うそ!?あ、でも俺も95点ならとったことあるよ!』
『え〜!何?』
『ガッチャマン!!』
『変なの!!』

こんなメールを5時間くらいしてた。
凄く楽しくて、でも、毎日したら迷惑かと思い、次の日から数日はメールしなかった。

そしたら…。

♪〜

彼専用の着信が流れる。

嬉しくて仕方がなかった。
『メール待ってても来ないから、自分で送ってみた!』
そんな内容のメール、嬉しくならないはずがないでしょ?
『毎日送ったら迷惑かと思ったもん。』
『迷惑じゃないし!!』
『てか、もうすぐ夏休みだね!』
『だな。でも、俺部活で、試合ばっかだし。』
そう、彼は野球部に所属している。
野球部はこの時期に大会がある。
『でも、私は誕生日が来るから嬉しいんだよね。』
『誕生日!?いつ?』
『7月17日。』
『もうすぐじゃん!』
『なんか頂戴?』
『俺にもくれるならね。』
『いつ?』
『4月7日。』
『過ぎてんじゃん!』
『じゃあ来年にでも!』
『じゃあ…私の愛で!(笑)』
その頃、こんな冗談が私の友人の間で頻繁に話されていた。
だから、冗談で言ったつもりだった。
『それって冗談?本気?』
まさか彼が唯の冗談にとらないとか思いもよらなかった。
ここで、私は一つの賭けにでた。
『本気と、冗談どっちがいい?』
もう、告白してるも同じことだった。

時は刻々と過ぎていく。
フラレル…そう思った。
だって彼の返信が遅かったから。

『…本気。』
「!!!」
『それって本当に?』
『うん。俺、宮迫さんのことが好きだ。』
嬉しかった…。初めての恋が実ったから。


『私も矢野君のことが好きです。』


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