(33)


めでたく(!?)奴の手の内に収まってしまった私。
なんか癪だなぁと感じてしまう。
何かと奴は
「俺のこと好きじゃないの?」
と言って泣きながら脅してくる。
なんでこんな奴に惚れてしまったんだろうと、つくづく呆れる。

レコーディングは物凄く上手く進んで、(当然奴はついてくるが。)何もかも絶好調。
そして今日の夜はと言うと…MUSIC PORTに出演します。

MUSIC PORTは生番組。
まじ、本当に、究極的に緊張してます。
リハが始まるのは18時から。
んで今の時刻、15時です。

「星羅…緊張するね。」
なぜ彼女が緊張するのだろう。
あ、彼女は久しぶりのご登場の松永由美(25)。
「まぁ緊張しない方がおかしいでしょう?」
「だよね!あたし、絶対に見るから!!てかDVDに録画するし!」
なんだこの熱の入りよう…。
「由美さん。俺の星羅にべたべたしないでください!」
「誰があんたのものだって言った?」
「そうよ。あたしだって協力してあげたのに〜。」
「それとこれとは別です!!」
「じゃあ、星羅はあたしとこいつどっちがいい?」
「愚問ですね。そりゃあ…「俺だよね?」」
「あんたは口を挟まない!!」
「由美に決まってるじゃないですか…。」
「ゆっ月〜!!なんでなんだ!!あの、熱い告白は嘘だったのか!?…弄ばれたんだ…。」
何が弄ばれただよ。
しかも告白してねぇっての。
歌っただけだもん。
ば〜か。
「いい加減にしないと怒るわよ。ただでさえ緊張で苛ついてんだから。」
「さすが星羅!きっつい一言だね〜。」
「お褒めいただきありがとうございます。」
(褒めてはないんだけどね…。)
そんな由美の声が聞こえたとか聞こえなかったとか。

そんなこんなでもう17時。
テレビ夕陽にROSEの方たちと落ち合った。
当然奴も連れて。

楽屋に入って、のんびりしてると…。
「ROSEの皆さん。今日はよろしく…え?」
入ってきたのは神楽の方々。
そういえばニューシングル発売してたな。
「よお、神楽の面々。かわいいだろ?お前らの愛しの星羅ちゃん。」
SINさんが面白そうに言った。
「…まさか。」
タクマがぼそっと呟く。
「星羅はお前らのじゃない!!」
こちらは奴の言葉。
まぁこれは無視として。
「今日はよろしくお願いします。」
「まさかお前だったとはな。ROSEとコラボしてんの。」
レンは本当に驚いているようだ。
「かっわいいね!!その衣装!」
こちらはヨウ。
「うん。似合ってる。」
こっちはリーダーのキョウヤ。
「で、なんでお前がいるわけ?」
お前とは奴のことを指してるわけで、レンさんと奴が睨み合っている。
「それはだね…「彼は星羅ちゃんの恋人に昇格したみたいだよ。」」
奴の言葉に割って入ってきたのはRUIさん。
「え!!」
「本当なの?」
「まじかよ…。」
「…嘘だよね。」
それぞれがそれぞれのことを言う。
「まぁ…いつのまにかそうなっちゃいました…。」
これは本当のことだもんな。
「やっぱ全国ツアーとかしてたからだ!!」
「そんな…。」
「まじかよ…。」
「…認めない。」
「それが本当のことらしいよ。先週から雰囲気が変わってたもん。」
とAYUさん。
「彼女、この頃ウザそうだけど、なぁんか時々嬉しそうだったしね。」
嘘!!
一生の不覚だわ!!
月のばかばか!!(なぜかわいこぶってる?BY作者)
「そうだったのか!星羅、愛してる!!」
わー!!
奴が物凄い勢いでこっち向かってくるし!
すると、すっと前に神楽の面々。
「「「「俺ら、認めないから。」」」」
うわ〜ハモってる。
「別にお前たちに認められようが認められまいが関係ないね。星羅、俺のこと好きだよね?」
なぜ、そこで私にふるんだ!!
しかも神楽もROSEもこっちをじっと見てるし…。
神楽は「好きじゃないよな」って目で見てるし、ROSEは面白そうに見てるし…。

これはある種のいじめだ!!

もう、私の顔は真っ赤。

「す…」
『す?』
「あ゛〜もう!!恥ずかしい!!なんで私がこんなことで恥ずかしくならなきゃならないの!!何回でも言ってやるわ!奴のこと
嫌いじゃないわ!!」

『…』

私はトイレにまっしぐら。
顔を真っ赤にしたまま。

「俺の勝ち。」
奴がそう呟いたことなど聞かずに。

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