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『では今夜のゲストの登場です。

衝撃的なCMが話題となっております、ROSE+moon!

今、話題のドラマ主題歌、神楽!



…以上の6組です。』
テレ夕のアナウンサーが紹介していく。

「星羅ちゃん大丈夫?まじ、緊張してるね。」
「いつもこの顔です…。」
「ははは、まぁ当たり前か。多分ヤモリさん、星羅ちゃんに質問ばっかするから頑張って!」
「はぁ。」

『続いてはROSE+moonです。』
『今回、ROSEの方々は初のコラボですが、どうでしたか?』
「いや〜、彼女の歌唱力には参りましたよ。」
「逸材でしたね。」
『どういう経緯でコラボすることになった?』
ヤモリさんがSINさんに聞いてくる。
「それは、あのCMですかね。あれで、ちょっと知り合いになって…ね、moon?」
「あ、はい。」
『今は仮面をつけてるみたいだけど、あのCMの女性だという噂は本当?』
SINさんはこっちをちらっと見る。
私が言えってことだろう。
「あ、その噂は本当ですね。」
『じゃあ、その仮面の下にはとっておきの美女が隠されてるというわけだ?』
「あはは。」
『じゃああの、男性は?』
「あれはですね、企業秘密です。」
『君、関係者なの?』
「いえ、社長に口止めされてるだけなんで。」
『へぇ、そうなんだ。』
『あ、準備ができたようです。では、お願いします。ROSE+moonでWant to spend with youです。』


あなたと共にいられる幸せ
それは何物にも代えられない
miss you...
だからこそ
want you...
あなたがいないこの部屋
私じゃない何者かが潜むこの部屋
あなたを想うその心

孤独が私を包み
どうしようもない毎日
あなたの…あなたのぬくもりが欲しいの

あなたとの出会いが
運命ならば
私はあなたの月になりたい
風になりたい
空気になりたい
Want to spend with you


今日は一番だけ。
緊張した〜。
もう、私はぼーっと座っとけばいいだけ!
まぁ、ぼーっとって仕事を頭の中でこなすだけだけど。


『続いては、神楽の皆さんです。』
『神楽〜ライブはどうだった?』
「あ〜楽しかったですよ!」
キョウヤは言う。
『そういや、神楽前のゼウスのCM出てたよな?じゃあ、moonちゃんとも?』
「知り合いっすね。」
レンが答える。

最悪。
今仕事のこと考えてたのに。

『moonちゃんの素顔可愛かった?』
「もう、めちゃくちゃ美人だよ〜。」
ヨウはおちゃらけて言う。

は、恥ずかしい…!!

『じゃあ、あの男性とも知り合い?』
「まぁ知り合いですね。逢ったことはありますよ。」
『いいね〜。俺も話題のあの男性に逢ってみたいな…。』
『あ、もう時間みたいですね。準備お願いします。神楽で愛する君へ。』

神楽が歌っている。
今回はレン作詞作曲らしい。

この歌…。
まさか私に対する歌みたい…。
神楽の皆すっごい切なそう。

ごめんなさい。

私がたとえ奴のこと嫌いでも、あなたたちのこと選べないわ。

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