(8)

皆黙ってる…。
やっぱひくよね。
醜いし…。
「やはり、皆さん、同情するんですね。そんな同情、私はいりませんから。」
「…ちがうよ。」
え?
「僕たちはゆえに手助けも何も出来ないことに落ち込んでるんだ。」
どうして…。
「俺らはちっせぇ時家庭環境に恵まれてなかったからな。ゆえの気持ちも分かるっつうわけ。」
「つらかったら泣いてもいいんだよ?」
なんて暖かい言葉なんだろう。
涙が…こらえれないよ…。
「……ありがと…ございます…。」
それから、随分たって、お開きになった。
相川に連絡して、迎えに来てもらって家へと帰った。

「…久しぶりにこんなに泣いたな…。」
そう呟くと深い眠りについた。
明日のことを考えながら…。
それから数日。順調にCM撮影も終わり、仕事にも慣れてきた。
由美には契約書も書いてもらい、とても仲良くなった。
由美は最初驚いていたが、
「やっぱりね〜。ただ者じゃないと思ってた!」
と納得していた。


プルルルル…


着信を見ると母からだった。
「もしもし。」
「あっ月?今何してる?」
「ん〜、勉強。」
ま、嘘だけど。
「へぇ、珍しいね。」
「んなことないよ。んで、用があるっちゃろ?」
「そうそう。花の結婚式のこと話さないかんかった!」
そんな話あったな。
「あ〜そういや、結婚するんやったね。」
「そうそう。11月の後半になったってよ。」
「あね。んで、あたし何着ればいいと?」
「振袖って言いよったやん。」
そうだっけ?
「そっか。あたしはレンタルって言いよったね。確か。」
「そうそう!!!言うの忘れとった!何色がいいか聞けって言われとった。」
「う゛〜ん。水色で!暖色系は似合わんし。」
そうなんだよね…。
「そやね。じゃあ、花に言っとく。」
「うん。んじゃ!」
「あんたあんまり帰ってこんけど、たまには帰ってきいよ?じゃあね。」
無理だって。
忙しいんだもん♪

そっか…姉ちゃん結婚するんだ…。
何か買ってやるか。
金もがっぽり稼いでるし♪
でも、何買おう…
こういう時には相川さんに聞いてみるか。
プルルル…
「もしもし?月何か用?」
「あの、姉が結婚するんだけど、結婚祝いって何がいいと思う?」
「う〜ん。そうねぇ…お皿とかいいんじゃない?ペアの。」
「なるほど!」
その手があったか。
全然気付かなかった。
じゃあ、○ラン○ランに行ってみるか。
「連れて行ってあげようか?」
この人変人だけどやっぱいい人だよね〜。
「散策してみたいから、一人で行ってみるよ!」
「そっか、久しぶりの休日だしね。じゃあ、楽しんできな!んじゃ!」
「ありがと〜。」
電話をきると、さっそく出かける準備をした。

向かったのは○ラン○ラン。
雑貨屋大好きなんだよね。
いっつも○ラン○ランで買い物してるし。
ここだったら、怪しまれないし、お手ごろなお値段♪
やっぱり自分のために使うんなら多少の出費はいいけど、姉ちゃんだし!
安くて大丈夫♪

それにしてもたくさんあるな。
お姫様みたいなのとか、シンプルなものまで。
ん〜、ペアの皿ないかな?

そう物色してると、シンプルなんだけど、男用はかっこよく、女用はかわいい、そんなお皿。
ピンってきた!!
これめちゃくちゃ良くない?
姉ちゃんこんなん好きだもんなぁ。
決まりやろ!!

そんなこんなで購入して、贈ってやると、めちゃくちゃ喜んでた。
単純だよな。
本当は1万くらい軽く出せるのに、にーきゅっぱだよ?
いわゆる2980円!
安いよね〜♪
あっこれ、は○な愛風にいってみました♪


次の日、とんでもないことが起こるとは露知らず、るんるん気分だった。

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