(9)

なんで社長室に呼ばれるかなぁ。
なんか悪いことしたっけ?
なんと、朝一で社長にお呼ばれしました。
ほんとに何のようかな?
今回ばかりは予想外だわ〜。

コンコン

「失礼します。」
「やぁ、仕事のほうは慣れてきました?」
「愚問ですね。知っていらっしゃるくせに。」
「ははは。まぁね。」
「んで、今日は何のようです?」
「今日はですね、紹介したい人がいるんです。」
はぁ?もしかしてお見合いとか?
んな訳ないか。
19歳だし。
「へぇ。そうなんですか。」
「あんまり興味なさそうですね。あなたらしい。」
「で、誰です?」
「私の息子の高原 明です。明!入ってきなさい。」
呼ばれるとがちゃとドアが開いた。
「こちらが息子の明です。」
「はじめまして。高原明です。あなたが副社長の宮迫月さん?」
「はい。はじめまして。」
う〜ん、こりゃイケメンだ!
目の保養になるわな。
「君…19歳なんですよね?」
「そうですが。何か?」
「いや、綺麗な方だと思って。」
「そんな褒めても何にもなりませんよ?」
「いや、お世辞ではないです。」
「またまた〜。」
かなり恥ずかしい!!あの人のこと見れないよ…。
って、なんかあたしらしくねぇ。
だってそんなん言われないし!
綺麗とか綺麗とか綺麗とか!!
しかもこんなイケメンだよ?
やっべ〜。


そんな感じで思いに耽ってると
「父さん!俺決めた。この娘と結婚する!」
………えぇ!?
なぜ!?
「う〜ん。彼女はいい子だし、いいよ!」
いや、良くないし!
なにこの人たち勝手に決めてんの?
もう口なんかポカーンと開きっぱなしになっている。
「考えが丸見え!面白いね!この娘!!」
「私もあんな表情初めてみるよ。彼女は普段表情に出さないからね。いつも冷静沈着。本当にびっくりしたんだね〜。」
いやいやいや、びっくりしたとかそんな次元ではナッシング!
って表情にでてる!?
やべっ。
表情を戻すと
「あぁ、終わっちゃった…」
人のことなんだと思ってんだ。
「ゴホン! 私、あなたとは結婚しませんから。あなたみたいな人嫌いなんです。」
そう言ってやると
「良かった〜、大嫌いじゃなくて。」
くっそ〜大嫌いって言ってやればよかった!
こんなに振り回されるのほんと嫌なんだよね!


二人の会話を聞いていた社長が話し始めた。
「では…、社長命令です!月さん!あなたの婚約者は明です!もし拒否したら、仕事を今の倍です!」
そっそんなぁ…。
社長命令なんてずるい!
「ずるいです!そんなこと言われたら、断れません!今でさえ、他の人の数倍してるのに!!」
「私だってこんなこと言いたくありません。でも、私は月さんに私の娘になってほしいんです!」
「って自分のためかよ。でも、俺、月に惚れちゃった。一目ぼれってやつ?」
……はぁ!?
呼び捨てにすんな!
んで、お前の素ってそんなんだったのか!!
「…本当に物凄く、死ぬほど不本意ではありますが、仕事増やしたくないんで、承諾します。本当に不本意ですが!」
「よろしく〜♪」
「婚約者なだけで、結婚したわけではないので、馴れ馴れしくしないでください。」
これにはショックを受けたようだ。
ざまぁみろ。
すると、奴は顔を近づけてきて
「本気で惚れさせるから…。」
思わず顔が赤くなってしまった。
シクった。
「今日、部屋行くから。」
奴はそうのたまわった。
思わず、
「来んなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

わたくし、宮迫月、不本意ながら、社長ジュニアと婚約しました。

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