(2)

私が毎日遅刻している、その原因は…。

ワン!
「はいはい。散歩行こうね。」

そうこの愛犬フィーフィーにある。
母の十八番が「Love is over」。
その歌手の欧陽菲菲から来ている。

いや、犬のせいにしてはいけない。
どう考えても私のぼうっとするその性格。

なぜ、犬と私の性格が原因なのか。

私だって、朝は登校の2時間前に起きている。

なら、なぜ7:40から開始の朝課外に遅刻するのか。

それは…習慣と化しているこの散歩を1時間30分近くしているからである。
例えるならばかっぱえびせん。
やめられない、とまらない。
あまりにフィーフィーがかわいいもんだから、おもちゃで楽しそうに遊んでいるのをただじっと、ぼうっと見てしまうのである。
だからいつも大体20分の遅刻。
しかし、成績が上位にいるからあまり先生にも咎められない。

そして今日もいつもの如く遅刻だ。

ガラ…

「おう、滝沢か!いつもより5分早いぞ?今日は槍が降るか?」
「あ〜そうかもしれません。みんなヘルメットの準備を!!」
ギャハハハハハ!!!!
クラスメイトの大半は大爆笑だ。
で、このノリのいい先生は地理のキノピーこと木下恭平(25)だ。
いつも茶化されるのでこの手の対応は得意!

今日もウケた!
なんか調子がいい…。
「今日も派手な登場だな。」
前の席の翔が話しかけてきた。
「羨ましがってるんでしょ。皆にウケてたから。」
「そっそんなことねぇし!!」

シーン…

翔は無意識に大声を出していたようだ。
「なぁにがそんなことないんだ?」
「あ、あははははは。」
「笹野には特別に課題を出してしんぜよう。俺って優しいなぁ。」
「あはははは…。」
もう笑うしかないみたいだ。
これだから翔は馬鹿なんだから。

キーンコーンカーンコーン


「じゃあ、今日はここまで。笹野、昼休み地理教官室に来なさい。はい、号令。」
「きりーつ、れーい。ちゃくせき。」
やる気の無い女子の委員長の号令で朝課外は終わった。

「お前のせいで俺だけ課題出たじゃんか!!」
「失礼な。自業自得でしょ。自分があたしに対して羨ましがるから…。」
「だからちげぇし!」
「あの!!」
「「ん?」」
声を掛けてきたのは委員長。
「また何か用?」
「この前の件なんですが…。」
「あれ、断ったよね?」
「何の話だ?」
「あぁ、委員長が自分の犬とうちのフィーフィーを交尾させてフィーフィーの子孫が欲しいんだって。」
「別にそれぐらいならいいんじゃないか?」
「い・や!!」
「お願いです!!滝沢さん!」
「まぁ、俺には関係ないし。」
「笹野くん。もし滝沢さんを説得してくれたら、今日の課題俺がやってあげますよ?」
「「何?!」」
「じゅん!頼む!!俺のために!」
「うわ〜、サイテー。」
「何とでも言ってください。目的のためなら手段は選びませんから。」
「お願いだ〜!!!じゅん!!」
「しつこい!!お前は自分で課題しろ!!」
ひっついてくる翔を足蹴にして。
「そんな、メリットのない契約、絶対いや!」
「メリット?あぁ、昨日滝沢さん話の途中で帰ったんで言ってなかったですね。」
「?」
「もし、契約に承諾していただいたら…あ、いやでも、契約してもらわないことにはやはり言えませんね。」
「はぁ?そんな契約、承諾するとでも思ってんの?」
「だから、俺は諦めませんって言ったじゃないですか。」
昨日はあんなにおどおどしてたのに、やけになって強気にでてやがる…。
「では、もうHRが始まるんで。また…。」
「二度と来んな!」

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