ガラガラ…
「さ、HR始めるぞ。」
そう言って教室に入ってきたのは数学教師の担任。山下 悟(28)。去年結婚したらしい。
しかも相手は若くて可愛い世界史の教師、宮迫風先生のお姉さんだそうだ。
「起立。礼。着席。」
委員長が号令をかける。
女子の委員長とは大違いだ。
「え〜、今日の5限のHRは文化祭の出し物を決めるぞ〜。」
『やった〜。』
『俺喫茶店がいい!』
『え〜、それありきたりじゃない?』
ざわざわと教室内がざわつき始めた。
「はい、うるさ〜い。じゃあ今から実行委員を決めるぞ〜。立候補がいなかったら投票で〜。あ〜、一人はもう決まってるから。
」
『え〜』
『勝手に決めんな!!』
そんな声が四方八方から。
まぁ、私も同感だ。
そんな面倒なことしてたらフィーフィーの夕方の散歩に間に合わない。
「静かに〜。一人は遅刻の常習者の滝沢〜。お前しろ〜。」
「はぁ?なんで?」
「お前が朝課外を遅刻しなかった日はゼロだ〜。たまにはいい行いをしろ〜。」
「え〜!!!!そんなぁ〜。ひどいっすよ〜。」
「遅刻するお前が悪いんだからな〜。」
「分かりましたよ…。やればいいんでしょ?やれば!!」
「その通り!で、もう一人決めるぞ〜。ちなみに男女1名ずつだから、男子のみだ!やる奴いるか〜?」
シーン…
となると思いきや
「はい。俺します。」
と手を挙げたのは委員長。
「南以外したい奴いるか〜?」
手を挙げろ!
誰か!!
シーン…
なんでやねん!!!
なんで誰も手を挙げないんだ!!!!!!
「じゃあ、南で決まりなぁ。はい、号令。」
「きりーつ、れーい、ちゃくせーき。」
このやる気のない女子の委員長の声はまるで今の私の心を写しているようだった。
「じゅん〜。面倒な役やらされたわね〜。まぁ自業自得よっ!」
きぃ〜!!
「そうそう。いっつもお前だけ遅刻してもお咎めなしだもんな。」
「翔…今度あんたのおぼろちゃんを攫ってやるから。そんで私が独り占めしてやるんだから。覚悟しときなさいよ!!」
「え!!それだけは勘弁!」
「はは。でも、まぁ委員長が大体のことはしてくれるんじゃない?」
「そうよ〜。相方が委員長で良かったじゃない。」
それが一番の問題だっつーの。
「もう!他人事だと思って…!!」
「「「だって他人だも〜ん。」」」
くぅ〜!!
腹立つな!
こいつら!
スタスタと委員長がこっちに近づいてくる。
「何よ!」
「いや、よろしくね。実行委員。」
「よろしくされたくないわ!!ぼけ。」
「ちょ、あんた口わる!委員長にそんな言い方ダメでしょ!」
「いいのよ。こっちは迷惑してるんだから。」
「だけど…。」
ボソっと委員長は私の耳元で呟いた。
「ぎゃー!!絶対に嫌だー!!!!!!!」
何を呟かれたかって?
それは
『覚悟しといてね。た・き・ざ・わさん。』
ちょっとした疑問。
キャラ変わってません?
委員長の南くん。