(4)

「はい、号令。」
そう担任が言った。
「起立。礼。着席。」
委員長がはっきりとした声で言う。

「じゃあ、滝沢、南。進行よろしく!」
「へ〜い。」
「分かりました。」

ちなみに最初に返事したのが私ですが何か問題でも?
委員長が話し始める。
「じゃあ、出し物ですが、何か案がある人挙手お願いします。」

は〜い!

何人かが一斉に手を挙げる。
すると委員長が私にボソッと囁きかけた。
「滝沢さんは、板書お願いします。」
「へ〜い。」
やはり私はやる気のない声。

「では、笹野くん。」
あいつ何言うつもりだ?

「メイド喫茶!!」

『はい、却下』

教室内の女子が声を揃えて抗議。

「まぁ、候補として置いときましょう。最後は多数決できめたいと思いますから。じゃあ、次は岡部さん。」
それを聞いて、私はメイド喫茶と書く。
「えーっと。お化け屋敷がいい!」
「お化け屋敷ですね…。」
で、私はお化け屋敷と黒板に書く。
「次は…。」
色々と出された意見の中で、多数決で決まった出し物。
それは…。

「滝沢、南。お疲れさん。じゃあうちのクラスは、ホスト・ホステス喫茶で。」

はい。男子がホストをして、女子がホステスをする喫茶店です。
幸か不幸かうちのクラス、美形が勢ぞろいなんです。
秋子と翔はミスター・ミスコンテストの去年優勝者だし、私も一応3位。
比呂は5位で…クラスの4分の1は美形だ。

ホステスか…。
私裏方がいいなぁ。

「決まったことを今日の実行委員会で言うように〜。よろしくな〜。滝沢と南。」
「え〜、今日からあるんすか〜。」
「なんだ〜、滝沢嫌なのか〜?毎日遅刻してくるやつが先生に逆らうのか〜?」
ギク。
「嫌だな〜。そんなことないっすよ〜。すっげー嬉しいっすよ。」
「だよな〜。滝沢はそういう奴だよな〜。」
「そうですよ〜。あ、先生、授業終わらないんですか?」
クラスメイトがくすくす笑っている。
私はクラスの中でそういうキャラ。
「じゃ、終わるか〜。はい、号令。」

「じゅん、お前、またウケてたな…。」
「何よ。羨ましがらないでよね。こっちは好きでボケてんじゃないんだから。」
「じゅんって芸人にむいてるんじゃな〜い?」
「向いてない!!どっちかというと秋子の方が向いてるよ!」
「いや、じゅん。」「いや、秋子。」
と二人で言い合ってると比呂が
「どっちもどっちってことで…。」
「「比呂!それ、全然なだめられてない!!」」

「お〜、怖。」

掃除をして、終礼が終わると…。
「滝沢さん。行きましょう。」
「はぁ、分かった。」

そう言って、二人で教室を出た。

「てか、何で手を挙げたわけ?」
「そりゃ、滝沢さんが相手だったからですよ。俺だってこんなのしたくないですから。バイトがありますし。」
「え〜、バイトしてんの?あの委員長が!?」
「あのってどのですか?」
「そりゃあの優等生の委員長ですよ。」
「というか、委員長ってやめてもらえません?俺、本当は委員長もしたくなかったんですから。」
「え〜、でも、呼びなれちゃったし。てかさ、何のバイトしてんの?」
「秘密です。」
「ケチ。」
「ケチで結構。」

今日、思ったこと。
いいん…南は結構面白い奴。

BACK* SERIESTOP* NOVEL* INDEX* NEXT