(5)


「ねぇ、教えてってば。」
「滝沢さんが俺と契約してくれたら教えてあげます。」
「え〜、私のかわいいフィーフィーを差し出すことなんて出来ないし!!」
「なら、教えません。」
「え〜!!!ていうかさ、なんで私のフィーフィー知ってるの?」
「バイトの帰りに散歩してるのを見ましたから。」
「なるほどね〜。私、朝、夕方、夜中の3回散歩してるからね〜。」
「そんなにしてるんですか?あ〜だから遅刻するんですね。」
「その通り!!!」

ちなみにこの会話、委員会中であります。
『じゃあ、今日の委員会はこれで終わります。』

私が帰る支度をしていると…
「滝沢さん。一緒に帰りませんか?」
ん〜、まあ南くん話しやすいし…。
「いいよ。」

二人で下駄箱で靴を履き替えてると、
「滝沢さん!あの、話があるんですが…。」
声をかけてきた一人の男子生徒。
「あー、南くん?ちょっと行ってくるから、今日は一緒に帰れないや…。」
「そこの君。ちょっと…。」
南くんは男子生徒を手招きして彼にぼそぼそと言うと
「ご、ごめんなさい〜」と言って逃げていった。

「南くん。何言ったの?」
「秘密です。さ、帰りましょう。」
隣の南くんは終始笑顔だ。

「あのさ、気になってたことなんだけど、なんでそんな眼鏡してんの?」
そう、会ったときから思ってた。
「バイトでばれないためです。」
「へぇ、そんなに違うんだ。眼鏡の有無で。」
「まぁ、そうですね。」
「見てみたいな…。眼鏡なし南くん。」
「…」
「何黙ってるのよ。」
「いや、滝沢さんがそんなこと言ったから。」
「私が言っちゃ悪いわけ?」
「そういうわけではなくて、俺自身に興味をもってくれたから…。」
「ふ〜ん。まぁいいや。今からバイト?」
「はい。滝沢さんは散歩ですか?」
「うん。」
「明日も散歩ですか?」
「うん。」
「俺もご一緒してもいいですか?」
「う…んぇ?」
「俺が一緒ではダメですか?俺の犬も一緒ですが…。」
「別にいいけど…でも!交尾はさせないからね!!」
「もちろんですよ。契約されてないから。」
「あ、私こっちだから。」
「では、また明日。」
「うん。バイバイ。」
そう言って私たちは別れた。

「ただいま〜。」

ワン!ワン!

「フィーフィー♪遅くなってごめんね?さ、いこ!」
私はフィーフィーを連れ出した。

フィーフィーは公園の砂場で穴を掘ってる。

「明日は友達も一緒だよ?仲良くできるといいね。」
ってフィーフィーに話しかける。

その光景を見られてるとも知らずに。

それから1時間後…
「さ、帰ろっか?」

ワン!!

元気のいい声で返事するフィーフィー。
「かわいいやつめ〜、今日もどろんこか、お前は!」
そう言って家に連れ帰り、フィーフィーをお風呂にいれる。

「じゅん!またフィーフィーを汚して!!」
「ごめ〜ん!」

お母さんに叱られつつもフィーフィーをお風呂にいれて、夕食を食べた。
「南くんの犬って何犬なんだろ…。」

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