(6)

次の日の実行委員の後も南くんは一緒に帰ろうと言ってきた。

「滝沢さん、行きましょう。」
「うん。」
「昨日の約束覚えていらっしゃいますか?」
当たり前だよ。
そのおかげで不覚にも寝不足…。
「う…うん。」
「何も、俺のところの愛犬もフィーフィーさんをとって食いやしません。」
「そんなの当たり前!!」
「さ、帰りましょう。」
「ていうかさ、南くんの犬って何犬?」
「秘密です。」
「南くんってさ、いっつも秘密にするよね!」
「今日の散歩なしにされたくないですから。」
「あ〜そういうことね。」
「そういうことです。」
「では、5時にこの場所で。」
「うん。」

そう言って別れたはいいものの、服装とか気にするべき?とか考えちゃうわけで、あーだこーだ考えてたら、いつの間にか4時50

分。
「やば!!」
そう言って、慌ててフィーフィーを連れ出した。
最後に着てみた服のまま。
なんと一番のお気に入りの服で。

「ごめんね?」
「いえ、俺もさっき来ましたから。」
ゼーゼー言いながら、顔を上げた。
「!!!」
「何ですか?人を見て。」
「だって!!!」
そりゃ驚くでしょ。
瓶底眼鏡が今時の服装なんだよ?
しかも、いい男が着るような。
アンバランスすぎる!!
ふと、下の方を見ると、
「かわゆ〜い♪」
南くんの犬は私の犬と同じ種類で、ミニチュアダックス。
かわいすぎる!!
「ね?かわいいでしょ?」
「名前なんていうの?」
「トラです。さ、公園に行きましょう。」
「うん。」
フィーフィーとトラくんを連れて公園に出発。
犬同士はもう仲良くなったようだ。
ものすごい勢いでじゃれあってる。
「はぁー、かわいいなぁ。なごむ〜。」
「滝沢さん、一人で自分の世界に入らないでくださいよ。」
「あ!ごめん!!だっていつもの倍かわいいんだもん。」
「じゃあ、契約します?」
「う゛〜、今ちょっとすっごい迷ってきた!!でも、フィーフィーの気持ち次第だよ!」
「でも、すっかり仲良しですよね?」
「まぁ、えーそうだけどさ。」
「まぁ、まだまだ時間あるんで。あ、俺混ざってきます。フィーフィーさんに気に入られるように。」
そう言って砂場の方へ南くんはむかった。

フィーフィーとトラくんの二人の世界になってるみたいで二人にとって南くんは邪魔みたい…。
フフフ。なんだか面白いな。
あっトラくん南くんに、砂かけてる。

「うわっ、やめろ。トラ!」
南くんが敬語じゃないの初めて聞いた〜。
「目に入るだろ!ってフィーフィーちゃんも一緒になんな!」
そう言って南くんは眼鏡をはずす…。
「えぇ!!!!」
「?」
「みっ南くん?」
「え?あっ!」
南くんはしまったって顔をしている。

なぜ驚いたかって?
そんなの決まってる。
南くんの素顔が…ていうか、南くんって…。

「モデルのYUMAだったの!?」
「あ…ばれちゃいました?」
「そ、そんなの当たり前だよ!!!!だって超有名じゃんか!!!」
「もう、ばれちゃったから普通に話すけど、だから、眼鏡はずせなかったわけ。分かった?」
うわっ、その言い方、まじで様になるし。
ていうかその洋服がまじで似合っていて…。
「あ…あ…。」
まじまじ見すぎて物凄い恥ずかしくなってきた。
「何?俺に惚れちゃった?」
「!!!」
「当たり?」
「ちっ、違うもん!!」
「そうなの?あ〜、残念。」
「な、何が?」
「犬なんて口実に決まってんじゃんってこと。」
「えぇ!?」
「俺としては、あの姿で好きになって欲しかったんだけど、この際もういいや。」
「え?ど、どういうこと?」
「だから、滝沢さん。俺、君を惚れさせるから。」
「え!!!!」
「あ、俺と契約しませんか?交際の。」
「え、遠慮します!!!!」

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