(9)

文化祭二日目。
今日はミスター・ミスコンの候補に選ばれた人は会場となる体育館に行かなければならない。
昨日、南くんがYUMAってバレたから、南くんも選ばれちゃって朝から二人で会場に向かっている。
「はぁ。」
私はため息をついた。
「どうした?」
と覗き込む南くん。
「ごめんね。本当に。私のせいでこんなんなっちゃって。」
「どうってことないよ。」
「でも…。」
「でもじゃない。君があの男の彼女になるよりましだよ。何かと面倒になってきたけど。」
「まじで、ごめんね。」

「なら、俺と契約してくれない?交際の。」
「えぇ!?それとこれとは違う!!」
「なら、謝らないで。俺は自分のためにしたことなんだから。」
「…うん。」
なんだか胸がきゅんってしたけど、胸の病気かな…?
「俺は別にいいとして、滝沢さんのこんな姿見せたくないな…。」
「は?何言ってるの?」
「自分じゃ気付いてないもんな…。」
「え?」
「絶対今回のミスコン優勝しちゃうだろ…。」
「そんなのありえないし!というかさ、南くんだって翔なんか抜かして一位に決まってる。」
「それはそうだろ。」
「でた。俺様発言。」
「そうでなきゃモデルのバイトしてないって。」
「いいですわね〜。モテル男は。」
嫌味で言ったつもりが…。
「惚れてる女にモテなきゃ意味ないけどな。」

!!!!!

ど、動悸が…。
やっぱ私なんか心臓の病気だ…。

「どうした?」
俯いている私に覗き込む。
ダメだって。
「顔赤いよ?」
「へ?」
南くんの顔が物凄く近かった。
「だ、大丈夫だから…。」
「そんな風には見えないけど。」
ドキドキドキ…。
「か、風邪なのかもね。」
「どれどれ…。」
そう言うと南くんは私のおでこに自分のおでこをぶつけてきた。
「な、何するの?」
「ん?熱測ってる。」

周りはそんなやり取りを見て、
黄色い歓声やらをあげている。

「ちょっと、委員長。じゅんから離れなさいよ。」
「嫌だね。せっかくの滝沢さんに触れられるチャンスなのに。」
「むかつくわね。じゅん!こっちに来なさい!」
またまた秋子と南くんが睨み合っている。
険悪なかんじなのに、なぜか胸が痛い…。
ちゃんと病院に行かなきゃな。
そんなこと考えていると、
「よ、じゅん。」
翔と比呂の登場。
「まさか委員長がYUMAだったとはな。こりゃ今年は2位だわ。」
「そうだなぁ。あのYUMAじゃ敵わねえし。」
「翔!比呂!ねぇ、この二人止めて?」
「あ?なんでだよ。面白いじゃん。このまんまの方が。」
「あんたって奴は…。あ、おぼろちゃん!!」
「え?」
「うっそぴょ〜ん。翔のばーか。役立たず!」
「うん。翔は馬鹿で役立たずだ。」
「おいおい。比呂まで同意すんなよ。」

「って、滝沢さん!」
「ん?」
「俺がこんな奴と言い争ってる間に…。」
ギロっと翔を睨む

「委員長…怖い…。」
「あいつ、なんかキャラすっげー変わってる…。」
どうなる!?
ミスコンの結果!!

BACK* SERIESTOP* NOVEL* INDEX* NEXT