(2)

*SIDE 翔

ひとまず、情報収集せな!!
こういう時はあいつに聞けば間違いなし!
「お〜い!ひろ!」
「何だよ、しゃぁしいな。(しゃぁしい=うるさい)」
こいつは奥野比呂(おくのひろ)。
同じ部活で、情報収集が趣味。
俺の親友ってわけ。
「1年の佐藤おぼろについて教えてくれ!」
「はぁ!?翔が女子の情報聞きに来るとかめずらしいな。惚れた?」
「ちっげぇよ!!昨日俺シュート練習んときボール外に出してしまった時に拾ってくれたとって。その佐藤さんが。
そん時なんか寂しいような眼しとったけん、もしかしたらバスケしとったっちゃないかいなって思ったわけ。」
「なぁんだ、そうゆうことか。佐藤さんは中学までバスケ部やったよ。俺、同中やもん。3Pシューターでエースやったし、確か。」
俺の勘ってすんばらし〜♪
「やっぱね〜。彼女にマネージャー頼もうと思うんやけど、どう思う?」
「無理やない?彼女の親って厳しいし、かなりおぼろちゃんに期待しとうけん、許すとは思わんけどなぁ。」
ちょい待ち!
なっし、お前が名前でちゃん付けと?(なっし=何で)
「お前、彼女の何なわけ?」
「やっぱ惚れてんじゃん。心配すんな!ただの幼馴染。家が隣とって。」
なぁんだ、そういうことか。
って!
「惚れてねぇし!」
「照れんなって!」
「照れてねぇし!」
こっこいつ、まじで殴りてぇ。
「てか、そんなに彼女の家って厳しいわけ?」
「うん。過保護っていうか何ていうか…。」
そっか…でも聞いてみるだけなら、いいよな!
「ん〜でも可能性が0じゃないんなら誘ってみるだけでも価値はあるやろ!」
「おぼろちゃん、バスケ好きだし、聞いてみても無駄じゃないかもな。」
よし!決まり!
「んじゃ、昼休みに彼女の教室まで一緒に行こう!」
「って何で俺まで!!!!!」
「幼馴染っちゃろ?紹介してくれてもいいやんか〜。」
「ったく仕方ねぇな。」
ってなわけで、昼休み俺らは佐藤さんの教室に向かうことにした。

あっという間に昼休みなり、俺らは佐藤さんの教室の前まで来た。
「あっちょっと君!おぼろちゃん呼んでくんない?」
比呂は彼女のクラスの女子に尋ねている。
その女子は頬を赤く染めている。
「あっはい…さっ佐藤さん!奥野先輩が呼んどうよ!」
そう言うとその女子はぎこちなく席についた。
呼ばれた佐藤さんは彼女にぼそっとありがとうと言うと、こっちに来た。
「ひろくん。何か用?」
「あー、俺が要があるんじゃなくて、こいつ。」
比呂は俺を指差した。
佐藤さんは俺を見るとびっくりしたようだ。
「あっそうそう。俺が用あるっちゃん。昨日はボール拾ってくれてサンキュな。「それだけですか?」」
いやいや、ちょっと待て!!
まだ話しとる途中だっての。
「いやいや、それだけじゃないとって。えーっとつまり、マネージャーせん?」
「えぇ!?」
「昨日なんかボールを寂しそうな眼で見とったけん、バスケ好きなんかなぁって思って誘ってみたわけ。どう?」
「…親が何と言うか分からないので、…すいません。」
彼女はやはり悲しそうな眼をしていた。
この娘、やっぱバスケやりたいっちゃね。
「おぼろちゃん、今の話、まんざらでもないっちゃろ?おじさんたちに話すだけでもしてみたら?何もプレイヤーじゃないっちゃけん、成績も落ちんって!」
「そうそう。俺らも手伝うし。」
佐藤さんは俯いて黙っていたがぽつぽつと話始めた。
「…親に相談してみます。」
よっしゃ!!
一歩前進やん♪
「じゃあ決まったら連絡して?えーっと、はい、これ。登録しとって!」
俺は授業中に書いたメアドと携番の紙を渡した。
「…分かりました。」
「んじゃ、いい答え待っとうけんね〜!」
「じゃな!」
そう言うと俺らは自分たちの教室に戻った。

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