(4)

*SIDEおぼろ

彼に恋をするなんて容易いことやった。
今までばれたことない表情をあっさりと見破ってしまうんやもん。
しかも美形となれば、こんなに簡単なことなんてないやろ。

マネージャーになって1ヶ月たった。
ボール磨いたり、スコアつけたり、時々アドバイスしたり…とっても充実した日々。
でも、この状況はさすがにやばい。

周りにはある意味素敵なお姉さま方。
こうなるのは時間の問題やとは思っとったけど…。
なんかやりきれん。

「あんた、翔の何なん?」
「あそこはマネをいれんっちゃないと?どうやって誘惑したと?」
誘惑?
私はただバスケが好きなだけ。
確かに翔先輩のこと好きになってしまったけど、やましいことなんかひとっつもない。
「何とか言ったら?それともあんたのその口飾りなわけ?」
「ちょっとかわいいからっていって調子に乗んのも大概にしいよ!!」
お姉さま方の一人が私に手をあげようとした。
やられる!!
「お前がな。」
え?痛くない…。
ふと前見ると、翔先輩が立っていた。
「翔…。これはね?…その…。」
「全部聞かせて貰ったし。誘惑?この子が?するわけねえし。この子はただバスケが好きなだけ。分かる?あんたらと違うの。だから誘ったと。」
そう翔先輩が言うと、分が悪くなったのか、彼女たちは退散した。

「ごめんな?怖かったやろ?」
そう優しく声をかけてくれた。
私は真っ赤になりながら首をふった。
「…助けてくれてありがとうございます。」
そういうのが精一杯やった。
すると、翔先輩に抱きしめられた。
嬉しい…好きな人に抱きしめられることがこんなに嬉しいことやったなんて…。
「俺がおぼろちゃんを守っちゃる。俺…おぼろちゃんが好きだ。」
うそ…嬉しすぎるよ…私…こんなに幸せでいいと?

意を決して口を開いた。

「わっわたしも先輩が好きです。」


*SIDE翔

彼女に恋をするなんて容易いものだった。
というか、一目ぼれだった。
彼女の一生懸命な姿に惚れないやつなんかいるはずがないやろ。
彼女のひとつひとつの仕草が美しかった。

彼女がマネージャーになって1ヶ月。
事件は起きた。
もしかしたら起きるかもしれないと部の全員が思っていたらしくて、こそこそと彼女を見守っていた。

「あんた、翔の何なん?」
「あそこはマネをいれんっちゃないと?どうやって誘惑したと?」
誘惑?
彼女はただバスケが好きなだけ。
お前らと違ってやましいことなんかひとっつもない。
「何とか言ったら?それともあんたのその口飾りなわけ?」
「ちょっとかわいいからっていって調子に乗んのも大概にしいよ!!」
女の一人が彼女に手をあげようとした。
そうはさせるか!!
「お前がな。」
良かった。間に合った。
彼女を傷つけるやつなんて許さねえ!
「翔…。これはね?…その…。」
言い訳?
聞きたかねぇし。
「全部聞かせて貰ったし。誘惑?この子が?するわけねえし。この子はただバスケが好きなだけ。分かる?あんたらと違うの。だから誘ったと。」
そう俺が言うと、分が悪くなったのか、女たちは退散した。

「ごめんな?怖かったやろ?」
そう声をかけたら彼女は真っ赤になりながら首をふった。
「…助けてくれてありがとうございます。」
そんな仕草がかわいくて、つい抱きしめた。
俺が彼女の傍ですっと彼女を守りたい…。
そうおもっとったら、自然と口が開いた。
「俺がおぼろちゃんを守っちゃる。俺…おぼろちゃんが好きだ。」
彼女はただでさえ大きな瞳をこれでもかってくらい、見開いとった。
少しの間の沈黙が永遠かのように感じる。

「わっわたしも先輩が好きです。」

昇天しそうなくらい嬉しかった。
俺と同じ気持ち…。

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