(5)


「では、参りましょうか。」
「はい。でも、どちらへ連れて行ってくださるのですか?」
「それは着いてからのお楽しみです。」

セシルが連れてきたのは湖だった。
その湖畔は夏だというのに涼しかった。

マーガレットはふと足元を見た。
「綺麗…。」
そこには青い色をした花が咲き乱れていた。「こんな花、見たことないわ。」
「でしょう?この湖特有のものなのです。」
「そうなのですか?本当に綺麗な花…。」
「そうですね。この花は貴女のように美しい。」
マーガレットは顔を紅潮させた。
想いを寄せる男性に美しいと言われたからだ。
「照れている貴女も美しいです。」
「そっそんな…。」
「はは。それより、この場所、気に入ってもらえました?」
「ええ。こんなに素敵な場所に連れてきてもらえて、本当に私、幸せ者ですわ。」
「喜んでもらえて私としても嬉しいです。」
「ふふ…。ずっとここにいたいくらいです。」
「僕もです。貴女とずっとここにいたい。
それはもう叶うことがないかもしれませんが…。」
マーガレットは下唇を噛んだ。
初めて恋をした途端に彼と別れなければならないのだから。
「お願いです。もし…もし私が生きて帰れるのならば、その時は…私の妻になってくれませんか?
貴女が例え反乱軍側の人間であっても、終結したその時、私の妻になってください。」
想いを寄せる相手からのプロポーズ、どうしてこの申し出を断れようか。
マーガレットの答えはただ一つ。
「絶対に帰ってきてください。絶対に私を貴方の妻にしてください。」
「マーガレット…。必ず…必ず戻ってきます。」
二人は口付けを交わし、再会を誓った。

しかし、二人は思いもよらない場所で再会することになる。


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